「Living Together, Growing Together」は、U Shareにとって単なるスローガンではありません。
さまざまな人と出会い、コミュニティに加わり、新たな機会に巡り合う。日々の暮らしの中で、入居者一人ひとりが実感していくものです。
2026年に開催された国際ビジネスコンテスト「TIBC 2026(Tokyo International Business Contest)」に参加した、U Share入居者のYuxuan Liuさんの経験も、その一例です。
U Shareに入居して、わずか2カ月。Yuxuanさんは、多国籍チームのメンバーとともに同大会で優勝を果たしました。
チームメイトは、アメリカ出身のJake Smithさんと、タイ出身のPraj Romphoさん。大会に参加するまで、一度も会ったことのない二人でした。
中国、アメリカ、タイ。出身国も母語も異なり、学問や仕事を通じて培ってきた経験も、それぞれ違います。
初対面の3人が一つのチームとなり、ビジネスプランをゼロから考え、審査員の前で発表する。与えられた時間は、わずか2日間でした。
なぜ、彼らはこれほど短い時間で結果を出すことができたのでしょうか。
その背景には、コンテストでの2日間だけではなく、Yuxuanさんがこれまで積み重ねてきた国際経験と、U Shareで過ごす日常がありました。
Yuxuan Liuさん 中国出身。早稲田大学大学院・コンピュータサイエンス修士課程に在籍し、Bosch Japanでソフトウェアエンジニアのインターンも務める。中国で工学を学んだのち、ヨーロッパ各国の大学院プログラムを経て2026年に来日、同年4月にU Shareへ入居。フルスタック開発と応用AIを専門とし、「人と人の違い」をテーマにした研究にも取り組む。

中国からヨーロッパ、そして東京へ——「違い」を研究テーマに
中国出身のYuxuanさんは、2026年9月から早稲田大学大学院でコンピュータサイエンスと工学を学ぶ予定です。現在は、ボッシュ株式会社でソフトウェアエンジニアリングのインターンにも取り組んでいます。
中国で工学を学んだ後、2019年から2020年にかけて交換留学生として東京に滞在。その後は約4年半にわたり、フランスとフィンランドを中心に暮らしながら学びました。イタリアをはじめ、ヨーロッパ各地の短期プログラムにも参加し、2026年に再び東京へ戻ってきました。
こうした経験は、Yuxuanさんのキャリアだけでなく、研究への関心にも大きな影響を与えています。
「さまざまな国で暮らす中で、コミュニケーションそのものが研究テーマになり得ると気づきました」
現在、Yuxuanさんは、AIを活用して異文化間のコミュニケーションを支援する研究テーマを構想しています。
例えば、「行けたら行く」という言葉。同じ表現でも、相手との関係性や口調、置かれた状況によって、受け取られ方は変わります。
AIが一つの意図を正解として示すのではなく、考えられる複数の解釈と、その判断にどれほど不確かさがあるかを伝えることはできないか。Yuxuanさんは、そうしたAIの可能性を探っています。
日本で経験した、文脈を重視するコミュニケーション。一方、北欧で触れた、より率直なコミュニケーション。
異なる文化圏で暮らしてきたからこそ、コミュニケーションの違いは研究上の関心であると同時に、日常を興味深いものにしてくれる存在にもなりました。
初対面の3人に与えられた、2日間
YuxuanさんがTIBCに参加したのは、自分自身を試してみたいという思いがあったからです。
OVAL JAPANが主催するTIBCは、東アジア最大級の国際ビジネスコンテストの一つであるIBCの公式選考大会です。
参加者は多国籍チームに振り分けられ、大会当日に初めてチームメイトと顔を合わせます。2日間でビジネス上の課題を理解し、解決策をゼロから組み立て、英語で発表し、審査員からの質問にも答えなければなりません。
Yuxuanさんのチームに与えられた課題は、組織の生産性を維持しながら、従業員のバーンアウトを減らすための解決策を提案することでした。

3人が考案したのは、企業向けソフトウェア「IkigaiWork」です。
従業員への定期的なチェックイン、エンゲージメントの測定、バーンアウトのリスクを可視化するダッシュボード、無理のない働き方を促す報酬制度を組み合わせたサービスを提案しました。
目に見えにくい仕事の負担を可視化することで、従業員の意欲低下や離職につながる前に、本人とマネージャーの双方が対応できる仕組みです。
プレゼンテーションを終え、審査員からの質問にも答え切った3人は、見事、優勝を果たしました。
しかし、Yuxuanさんにとって最も印象に残ったのは、優勝そのものではありませんでした。
「一番大きかったのは、勝ったことではありません。まったく異なる背景を持ち、その日初めて出会った人たちでも、一緒に価値のあるものを生み出せると実感したことです」
短期間でチームになれた理由
初対面の3人は、なぜ短期間で一つのチームになれたのでしょうか。
Yuxuanさんは、二つの理由を挙げています。
一つ目は、それぞれの強みを早い段階で見極めたことです。
「時間が限られていたので、全員ですべてを話し合おうとはしませんでした。お互いを信頼し、それぞれが一番得意なことに集中したんです」
チームは、リサーチ、プロダクトの企画、プロトタイプの設計、プレゼンテーション、質疑応答の準備を、それぞれの得意分野に応じて分担しました。
全員が同じ役割を担うのではなく、異なる経験や能力を組み合わせる。その違いこそが、チームの強みになりました。
二つ目は、異なる背景を持つ相手に対して、先入観を持たずに向き合う姿勢です。
「国際的な環境で暮らしてきたので、初対面の人や、異なる文化を持つ人と一緒に取り組むことには慣れていました。ランダムに編成された国際チームに入ることも、特別なことには感じませんでした」
とはいえ、こうした姿勢は一朝一夕に身につくものではありません。
Yuxuanさんは、どのような経験を通じて、その姿勢を育んできたのでしょうか。
U Shareでの日常が、挑戦への扉を開いた
TIBCを知ったきっかけについて尋ねると、Yuxuanさんは笑顔で答えました。
「実は、この挑戦のきっかけはU Shareにありました。館内に貼られていたポスターを見て、TIBCを知ったんです。あのポスターを見ていなければ、おそらく応募していなかったと思います」
異文化の中で協働する姿勢は、長年の留学や仕事を通じて培われてきたものでした。
U Shareは、東京へ戻ってきたYuxuanさんがその姿勢を日常の中で磨き続け、新たな挑戦につなげる場所になりました。
異なる大学、国、文化的背景を持つ学生と暮らすことは、価値観の違う相手とコミュニケーションを取る日々の実践でもあります。
Yuxuanさんは、日本語交流会のほか、入居者が中国料理やメキシコ料理を持ち寄ったSpicy Food Club、U Shareで開催されたJapanese Movie Nightなどにも参加しました。
「日常の何気ない会話が、異なる文化を持つ人とコミュニケーションを取る練習になっていました。だからこそ、大会でも初対面の人たちと自然に協力できたのだと思います」

U Shareで生まれたつながりは、レジデンスの外にも広がっています。
渋谷で開催された入居者交流会では、日本のAI企業で働くエンジニアと出会いました。そこで交わした会話が、後日、1対1のメンタリングセッションへとつながりました。
「自分の将来のキャリアを、以前よりもずっと具体的に思い描けるようになりました」
Living Together, Growing Together
U Shareに入居してからの2カ月間で、Yuxuanさんは、異なる背景を持つ人々から学ぶ新たな機会を得ました。
そして、これまで海外で培ってきた経験を、東京での新しい出会いや挑戦へとつなげていきました。
共に暮らすこと。
互いの違いから学ぶこと。
それぞれの挑戦を支え合うこと。
Yuxuanさんの経験には、U Shareが大切にする理念が表れています。
Living Together, Growing Together.
「完璧に準備が整うまで、待たないで」
インタビューの最後に、Yuxuanさんは、これから新しい挑戦を考えている人へメッセージを送りました。
「完璧に準備が整うまで待たないでください。チャンスは、ポスターやイベント、何気ない会話など、小さなきっかけから始まることがあります。少しでも面白そうだと思ったら、まず挑戦してみてください。たとえ勝てなかったとしても、出会った人や、プレッシャーの中で取り組んだ経験、向き合った課題から、必ず何かを得られるはずです」
自分とは異なる人と出会うこと。
その違いを理解し、互いの強みを生かすこと。
準備が万全でなくても、一歩を踏み出してみること。
Yuxuanさんの物語は、日常の中にある小さなきっかけが、思いがけない未来につながることを教えてくれます。
あなたの次の物語も、U Shareから始まるかもしれません。




